2011年3月5日土曜日

酔っ払いの詩人:第11週

酔っ払いの詩人:第11週

by Gotthold Ephraim Lessing

【原文】

Ein trunkner Dichter leerte
Sein Glas auf jeden Zug;
Ihn warnte sein Gefaehrte:
Hoer’ auf! du hast genug.
Bereit vom Stuhl zu sinken,
sprach der: Du bist nicht klug;
Zu viel kann man wohl trinken,
Doch nie trinkt man genug.
Antwort eines trunknen Dichters


【散文訳】

ある酔っ払った詩人が
グラスの酒を、ぐいっぐいっと一息に飲み干していた。
同行者(友達)が警告して、こう言った。
おい、止めろよ。もう十分だ。
椅子からもう滑り落ちそうになりながら
詩人は言った。お前、頭が悪いな。
飲み過ぎるということはあるさ
でも、これでいいということがないんだ。
というのが、酔っ払った詩人の答え。


【解釈】

この詩には、題名はついていないのですが、敢えて、酔っ払いの詩人としました。

酔っ払うという動詞と、詩人という名詞ほど、相性のよい品詞はありません。

カレンダーの原文は、上のドイツ語の詩が、丁度ワイングラスの形になるように書いてあります。

それも、グラスは傾いていて、丁度ワインの量の液体に相当する文字は、赤い文字になっているのです。

これは、どうも赤ワインと見えます。

これは、ドイツ文学史に名高いレッシングというひとの詩です。

こいう詩を学生のときに読んでいたら、レッシングの読者になっていたかたも知れないのだ。

レッシングの人生は、1729年から1781年です。

「お前は頭が悪いな」と訳したところは、お前は、賢くないなと原文ではなっています。まあ、酒飲みのこころが解らないような人間は、聡明ではないといっているようにも聞こえますね。

あるいは、バッカやろうと訳してもよいかも知れない。

これは、素晴らしい一行だと思う。

こういう詩を読むと、このひとが劇作家だということが、わかるような気がします。人間の感情の機微が言葉にまつわりついている。こうやって、生き生きとしたセリフに満ちた、actionの豊かな脚本を書いたのでしょう。

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