【原文】
Lang wie der schleppende/Schweif des Kupferfasans/so lang ist die Nacht/mir - muss ich sie einsam/ohne die Liebste verbringen
【散文訳】
引きずつてゐる、銅の雉の美しい尾のやうに長く、そのやうに長く、夜はあり、わたくしにはさうおもはれ、わたくしは其の夜を孤独に、最愛の女性も無くて、過ごさねばならないのだ。
【解釈と鑑賞】
この詩人の、Wikipediaです。言うまでもなく、日本の詩の歴史、和歌の歴史に名のある歌人です。
http://goo.gl/IYbXLq
この歌の原文の日本語は、次の有名な和歌でありませう。
あしびきの 山鳥(やまどり)の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む
柿本人麿(3番) 『拾遺集』恋3・773
藤原定家の小倉百人一首にも採られてゐますので、百人一首の札にある柿本人麿の絵もまた掲げることにゐたします。
この歌の、ドイツ語の訳者が、山鳥を何故銅の雉と訳したのか、その真意は不分明なところがあります。銅の色が、山鳥の色であるからなのでせうか。しかし、銅の雉と訳すと、これはまた、その雉が文字通りに銅でできてゐるという意味にもなり、ドイツ語で読む読者に誤解を与へることになりますが、まあ、これも翻訳による余剰といふことになるでせう。
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