2015年2月7日土曜日

Lang wie der schleppende(引きずつてゐる、銅の雉の美しい尾のやうに長く):第7週 by 柿本人麻呂(662頃 ー 710頃)


Lang wie der schleppende(引きずつてゐる、銅の雉の美しい尾のやうに長く):第7週 by  柿本人麻呂(662頃 ー 710頃)






【原文】

Lang wie der schleppende/Schweif des Kupferfasans/so lang ist die Nacht/mir - muss ich sie einsam/ohne die Liebste verbringen


【散文訳】

引きずつてゐる、銅の雉の美しい尾のやうに長く、そのやうに長く、夜はあり、わたくしにはさうおもはれ、わたくしは其の夜を孤独に、最愛の女性も無くて、過ごさねばならないのだ。


【解釈と鑑賞】

この詩人の、Wikipediaです。言うまでもなく、日本の詩の歴史、和歌の歴史に名のある歌人です。

http://goo.gl/IYbXLq

この歌の原文の日本語は、次の有名な和歌でありませう。

あしびきの 山鳥(やまどり)の尾の しだり尾の
   長々し夜を ひとりかも寝む

          柿本人麿(3番) 『拾遺集』恋3・773

藤原定家の小倉百人一首にも採られてゐますので、百人一首の札にある柿本人麿の絵もまた掲げることにゐたします。




この歌の、ドイツ語の訳者が、山鳥を何故銅の雉と訳したのか、その真意は不分明なところがあります。銅の色が、山鳥の色であるからなのでせうか。しかし、銅の雉と訳すと、これはまた、その雉が文字通りに銅でできてゐるという意味にもなり、ドイツ語で読む読者に誤解を与へることになりますが、まあ、これも翻訳による余剰といふことになるでせう。



0 件のコメント: