2011年7月9日土曜日

Ich bin nicht Ich(私は私ではない):第28週

Ich bin nicht Ich(私は私ではない):第28週

by Juan Ramon Jimenez (1881 - 1952)


【原文】

Ich bin nicht Ich.
Ich bin jener,
der an meiner Seite geht, ohne dass ich ihn erblicke,
den ich oft besuche,
und den ich oft vergesse.
Jener, der ruhig schweigt, wenn ich spreche,
der sanftmuetig verzeiht, wenn ich hasse,
der umherschweift, wo ich nicht bin,
der aufrecht bleiben wird, wenn ich sterbe.


【散文訳】

わたしは、わたしではない。
わたしは、わたしの側を行く者であり、
このとき、わたしは、わたしがよく訪れ、
また、わたしがよく忘れる彼を目にすることがない。
わたしが話せば、静かに沈黙し、
わたしが憎めば、柔和にお詫びをし、
わたしがいないところでは、
徘徊し、
わたしが死ねば
背筋を伸ばしてそこに留まるだろう者、
それが、わたしである。


【解釈】

この詩人は、スペインの詩人です。

スペイン語のWikipediaがあります。写真も載っています。

http://es.wikipedia.org/wiki/Juan_Ram%C3%B3n_Jim%C3%A9nez

これも、いい詩だ。

註釈は不要と思われます。

何故いい詩なのか。

わたしとは何かという問いに答えているからです。詩的に。

それから、、否定形によって。

肯定形で、わたしを定義すると、同義語反復、になる。

ここから先は、埴谷雄高の世界でもあります。

結局、否定によらなければ、わたくしが定義できないとは、これは如何に。

このような、わたしについての詩を、わたしもいつか書いてみたいものです。

肯定形で、同義語反復を回避して。

こう書いてきて思いましたが、同義語反復の文、

わたしは、わたしである。

という文では、だれもかれも同じということになるのです。

ここに、人間のおもしろさ、愚かさ、深さがあると思います。

哲学的にも、論理学的にも、詩的にも。

また、敢えて言えば、散文的にも。

つまり、言語の問題。

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