Trost(慰め):第2週 by Eduard Mörike(1804~1875)
【原文】
Trost
Ja, mein Glück, das lang gewohnte,
Endlich hat es mich verlassen!
- Ja, die liebsten Freunde seh’ ich
Achselzuckend von mir weichen,
Und die gnadenreichen Götter,
Die am besten Hülfe wüßten,
Kehren höhnisch mir den Rücken.
Was beginnen? Werd’ ich etwa,
Meinen Lebensweg verwünschend,
Rasch nach Gift und Messer greifen?
Das sei ferne! Vielmehr muss man
Stille sich im Herzen fassen.
Und ich sprach zu meinem Herzen:
Lass uns fest zusammenhalten!
Denn wir kennen uns einander,
Wie ihr Nest die Schwalbe kennet,
Wie die Zither kennt den Sänger,
Wie sich Schwer und Schild erkennen,
Schild und Schwert einander lieben.
Solch ein Paar, wer scheidet es?
Als ich dieses Wort gesprochen,
Hüpfte mir das Herz im Busen,
Das noch erst geweinet hatte.
【散文訳】
そう、私の幸せよ、長い間傍にゐたもの、それが、
遂に、私の元を去つてしまつた!
さう、最も愛した友たちが、
肩をすくめながら、私から離れて行くのを目の当たりにし、
そして、恵み豊かな神々が、
助けるといふことを最も良く知り給(たま)ふ筈であるものを、
軽蔑して、私に背中を向けるのだ。
何を始めるのだ?私が、例へば、
私の人生の行路を呪ひながら、
急いで毒薬とナイフを掴むといふのか?
そんなことは、遠ざけられてあれ!さうではなく、むしろ、人のなすべきことは、
静かに、心の中で自分自身を持して、気持ちを落ち着けることだ。
さうして、私は、私の心に向かつてかう言つた:
私たちは一緒になつて、しつかりしようではないか!
それは、私たちがお互ひを知つてゐるからだ
燕の巣が燕を知つてゐるやうに
ツィターが歌ひ手をよく知つてゐるやうに
剣と盾がお互ひを深く知つて、
盾と剣がお互ひを愛するやうに。
このやうな一組を、誰が分かたうか?
私が此の言葉を話した時、
心臓が私の胸の中で飛び跳ねた
私の心が、やつと泣いたのだ。
【解釈と鑑賞】
この詩人は、いふまでもなく、ドイツ文学史上名のある詩人です。
最後の一行を書くために、この詩人はこの詩を書いたのだと、私は思ひました。
第2連で、
剣と盾がお互ひを深く知つて、
盾と剣がお互ひを愛するやうに。
と、剣と盾を互ひに交換して表したところに、相矛盾する(文字通りに盾と矛であるわけですが)ものを、相反するものを深く知る事(認識)と愛する事によつて、これを乗り越え、一つにしようという詩人の心、詩の心が、ここで特に、伝はつて参ります。
それが、慰めといふ此の詩の題名の由来でありませうか、それとも最後の一行が、さうだといふのでありませうか。
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