2016年1月31日日曜日

Die Eisorgel(氷のオルガン):第4週 by Ana Blandiana(1942~ )


Die Eisorgel(氷のオルガン):第4週 by Ana Blandiana1942~     







【原文】

Etwas ist zu hören,
nicht wahr? Es ist die Musik
der Eisorgel,
die an meinem Vordach hängt.
Ich kann keinen Ton
vernehmen,
aber ich weiss,
bin überzeugt,
es ist einfach unmöglich,
dass nichts zu hören ist
und dass
dies vollendete
und so leicht sterbliche Instrument
bloss
erfunden wurde
für wer weiss welchen
unsichtbaren, fernen,
gleichgültigen
Hörer.


【散文訳】

何かが、聞こえて来ます
さうではありませんか?それは、音楽
氷のオルガンの音楽
私の家の庇(ひさし)にぶら下がつてゐる氷のオルガンの。
私は何の音も聞き取ることができません、
しかし、私は知つてゐるのです
確信してゐるのです
何も聞こえないなどといふことは、全く有り得ないことだといふことを
そして、この完成した
そして、かくも容易に死んでしまふ楽器が
単に
発明されたのは
誰も知らない、どれでも良い
眼にも見えない、遥かなところにゐる
どうでも良い
聴き手のためであるなどといふことは、全く有り得ないことだといふことを。


【解釈と鑑賞】


この詩人は、ルーマニアの詩人です。


この詩人の朗読を聴くことができます。実に魅力のある声であり、静かなる朗読です。ルーマニア語ですから、意味はわからないのですけれども。是非お聴き下さい。


この詩は、よく見ますと、たった(bloss)二行の文でできてゐる詩です。

これが、この女性詩人の感覚なのでありませう。





0 件のコメント: