2012年5月9日水曜日

第20週:Wiederkaeuer(反芻者) by Rose Auslaender (1901 - 1988 )


第20週:Wiederkaeuer(反芻者) by Rose Auslaender  (1901 - 1988 )

【原文】

Wiederkauer

Im uebersaettigen
Hungerjahrhundert
kaue ich die Legende
Frieden
und werde nicht satt

Kann nicht verdauen
die Kriege sie liegen
mir wie Steine im Magen
Grabsteine

Der Frieden
liegt mir am Herzen
ich kaue kaue
das wiederholte Wort
und werde nicht
satt.


【散文訳】

反芻者(何度も何度も噛む者)

過剰な満足の
餓えの一世紀に
わたしは、平和という伝説を噛み締め
そして、飽く事がない

消化できない
数々の戦争を、それらは
わたしの心臓にあって
胃袋の中の石ころどもだ
墓石だ

平和は
わたしの心臓にあって
わたしは噛み締め、噛み締め
この、繰り返される言葉を噛み締め
そして
飽く事がないのだ

【解釈と鑑賞】

この女性詩人のWikipediaです。

http://de.wikipedia.org/wiki/Rose_Ausländer

この詩人の詩は、去年のカレンダーにも採録されておりました。

このカレンダーの編集者のお気に入りの詩人なのかも知れません。

しかし、それとは別に、痛烈な皮肉の詩です。その通りのことを言っていて、21世紀の初頭の今、だれも、この言葉を否定するひとはいないでしょう。

どんなに愚かな夢を20世紀の人間達は夢みたことか。

20世紀を、過剰な満足の(従い、飽く事のない)飢餓の世紀と喝破しています。

詩人は、かくありたい。

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