第23週:Ikaros (イカロス) by Hugo Claus (1929 - 2008)
【原文】
Ikaros
Fertig? Fertig!
Er lachte seinem Vater zu, verräterisch.
(Und flog zu nah an die Sonne, seine Mutter,
und flog in die Hitze ihrer unermesslichen Lippen
und fiel wie eine Maus aus ihrem Maul
und zerschellte auf dem marmornen Meer.
Uebermut? Verzweiflung?
Das war viel eher die wattige Domäne des Daedalos.
Ikarus wollte ihre Wärme nicht scheuen,
wollte sich begraben in ihren weiten lohenden Haaren.)
Fertig? Fertig! Er lacht,
bindet sich Federn an die Knöchel, die Zeichen des Eros,
die Sporen des Greifs.
【散文訳】
イカロス
準備完了?準備完了!
イカロスは父親に笑いかけた、裏切りのこころで
(そして、太陽に余りに近く飛んで行った、母親のところへ、
そして、母親の測り難い唇の熱の中へと飛んで行った
そして、一匹の鼠のように、その口の中から落ちて行った
そして、大理石の海に打ち当たって音を立てて砕け散った。
傲慢?それとも、絶望?
いや、それは、父親ダエダロスの綿のように柔らかな領地であった。
イカロスは、その暖かさを嫌いではなく、
その広い、炎々と燃え上がる毛の中に自らを埋葬したいと思ったのだ。)
準備完了?準備完了! イカロスは笑い、
羽根を指の関節、エロス(憧憬)の徴(しるし)に結びつける、
(鷲の頭と翼とを持つ獅子身の怪獣)グリフィンの拍車に結びつける。
【解釈と鑑賞】
この詩人は、ベルギーの詩人です。しかし、その作品をオランダ語で書いた詩人です。
この詩人のWikipediaです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Hugo_Claus
劇作家、小説家、詩人、画家、映画監督として活躍しました。
1970年代には、シルビア・クリステルとの間に一子をもうけています。
色々な偽名、pseudonymを使って、作品を発表したひとでもあります。
晩年はアルツハイマー症に罹り、そのために自ら安楽死を選択して、2008年5月19日亡くなっています。