2012年4月14日土曜日

第17週: 無題 (自分自身であることの証明) by Patrizia Cavalli (1949 - )



第17週:   無題 (自分自身であることの証明) by Patrizia Cavalli (1949 -    ) 

【原文】

Zeuge seiner selbst zu sein
immer in eigner Gesellschaft
nie unbeschwert alleingelassen
sich immer zuhören zu muessen
bei jedem physischen chemischen
geistigen Ereignis, das ist die grosse Prüfung
die Buse, das Uebel.



【散文訳】

彼自身のものであることを証明せよ
いつも、自分に固有の社会の中にいて
決して苦しむ事なくひとりで放っておかれ
いつも自分自身に帰属しなければならぬことを証明せよ
どんな物理的な、化学的な
精神的な出来事が起こっても、それが(そう証明することが)大いなる試練であり、
贖罪であり、悪であるのだ。


【解釈と鑑賞】

この詩人のWikipediaです。イタリア語です。写真で姿をみることができます。

http://it.wikipedia.org/wiki/Patrizia_Cavalli

冒頭の一行、彼自身と訳したseiner selbstのseinerは、sが大文字ではないので、神様ではなく、そうでなければ、話者が話者自身に対して発した「彼のものであること」を証明せよという命令形でしょうか。

彼が恋人という解釈もありえるかも知れませんが、そうとる必要もないとも思います。

彼が、自分自身のことであると解釈することもできると思います。自己を客体化している。

しかし、この冒頭の一行は、何か、宗教的なものを思わせます。

その調子は、最後の2行に繋がっています。

そのようであることを証明することは、確かに大いなる試練でありましょう。

そして、それが贖罪で、同時にあり、また悪なのだという順序でやって来て、最後の悪という言葉は強烈です。

非常に魅力的な、その通りだと思わせる詩です。

善も悪も、人間との関係、従い、人間の社会との関係であるものです。自然は全く善悪とは無関係です。昨年の大震災と津波で、わたしたちが認識したこと、思い出した事の、大切なことのひとつは、このことであったと思います。

わたしは、この詩の歌っているように生きて来たように思います。

あなたは、どうでしょうか。

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