第11週: Ausweg(出口)by Chris Reinig (1926 - 2008)
【原文】
Ausweg
das, was zu schreiben ist mit klarer Schrift zu schreiben
dann Löcher hauchen in gefrorne fensterscheiben
dann Bücher und Papiere in ein schubfach schliessen
dann eine Katze füttern eine blume giessen
und ganz tief drin sein - und den sinn erfassen:
zieh deinen Mantel an du sollst das haus verlassen
【散文訳】
出口
書くという事、それは、明瞭な文字で書くということ
そして、凍った窓ガラスに息を吹きかけて(氷を溶かして)穴を開けるということ
そして、本と書類を机の引き出しにしまうこと
そして、一匹の猫に餌をやり、一本の花に水をやること
そして、以上のことの中に非常に深く入っていることーそして、その意義(センス)をつかまえ、理解すること
外套を着なさい、どっちみち家を立ち去ることになるのだから
【解釈と鑑賞】
この詩人がどんな詩人なのか、いつものように名前で検索してもWikipediaも出て来ません。
同名異人の記事が出て来るばかりです。
しかし、身を隠す、隠れて出てこないということこそ、考えてみれば詩人に相応しい。
1連目の文字の書き方の一行目から、二行目に連想が飛躍することは、寒い土地に育ったわたしにはよくわかります。
まづ、窓ガラスが凍結するので、美しい模様を描きます。その模様の形象を見ると、今日はマイナス20度だなとか、24度だなとか、わかかるのです。
そう思って寒暖計の数字を読むと、いつも当たっていました。
子供のころの話です。
さて、そうして、暖かい息を凍結した窓にハアーッとかけると氷の模様が解けて、穴が開きます。
2連目も、何かこう、普通の行為を詩にしています。
最後の3連目に、詩人の主張があるわけですが、最初の2つの連で歌ったことがらの中に、沈潜しなさい、深く入ってありなさいといっています。
最後の一行、外套を着なさい、どっちみち家を立ち去ることになるのだから、という一行は、これから外に出て行くには、季節は冬で、外は寒いだろうから、外套を着よともとれますし、少し譬喩(ひゆ)的に、外(社会)は寒いので外套を必要とするから、といっているようにも読む事ができます。
どっちみち家を立ち去ることになるのだから
と訳した一行は、家という名詞の前に定冠詞が付いていますので、
どっちみち家というものを立ち去ることになるのだから
という意味になります。
とすると、上の最後の一行の解釈の後者がよいか、ということになります。
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