2012年2月4日土曜日

第7週:Ich staune(わたしは驚く)by Franz Werfel (1890-1945)


第7週:Ich staune(わたしは驚く)by Franz Werfel (1890-1945)

【原文】

Ich staune

Ich staune, dass die rote Farbe rot ist.
Ich staune, dass die gelbe gelb erglimmt.
Ich staune, dass was ringsum lebt nicht tot ist.
Und dass was tot ist, nicht ins Leben stimmt.

Ich staune, dass der Tag alltaeglich nachtet,
Wenn ihm das Licht verwest zur Daemmerung.
Ich staune, dass fruehmorgens ueberfrachtet
Von Sonnenglueck, ein neuer kommt in Schwung.

Ich staune, dass durch alle Lebenssprossen
Das Mann- und Weibliche geschieden bleibt.
Und diese Zwieheit niemals ausgenossen
Als Wonne unsre Herzensfluten treibt.

Mein Staunen ist kein Forschen nach dem Sinne.
Mein Staunen ist des Sinnes selbst der Sinn.
Nur durch Erstaunung werd ich meiner inne.
Ich staune, dass ich staune, dass ich bin.

【散文訳】

わたしは驚く

赤い色が赤いということに、わたしは驚く。
黄色が黄色い微光を発して燃えだすことに、わたしは驚く。
周囲に生きているものが、死んでいないということに、わたしは驚く。
そして、死んでいるものは、生命の中に調和して入ってこないということに。

一日が毎日夜になることに、わたしは驚く、
昼の光が衰えて夕暮れになると。
朝早くに太陽の幸福が過剰に積まれて、新しい日が一気に盛んになることに
わたしは驚く。

すべての生命の芽吹きを通じて
男性的なるものも、女性的なるものも、分かれて、こうしてあるということに
わたしは、驚く。
そして、このふたつながらあるということが、決して歓喜として味わい尽くされることなく、わたしたちのこころの笛を奏(かな)でるということに。

わたしの驚きは、意味の探究ではない。
わたしの驚きは、意味の意味自体である。
驚くことによってのみ、わたしはわたしを理解する。
わたしが有るということにわたしが驚くことに、わたしは驚く。


【解釈と鑑賞】

この詩人は、ドイツ文学史上に名のあるオーストリアの小説家、劇作家、そして詩人です。

この詩人の英語のWikipediaです。

http://en.wikipedia.org/wiki/Franz_Werfel

また、日本語のWikipediaです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/フランツ・ヴェルフェル

不思議とドイツ語のWikipeidaがありません。

解釈は不要の詩ではないかと思います。

そのまま味わって下さい。

而(しか)して、こうして鑑賞もまた書かずに済むことに、わたしは驚く。

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