第3週:Alternative(次善の策)by Rudolf Peyer
【原文】
Mit ungeschriebenen Gedichten
das Gehoer schaerfen
fuer Lerchenlieder
im Winter.
【散文訳】
そもそも書きようもなく、書かれることのない数々の詩を以て
聴覚を研ぎすませ
雲雀(ひばり)の歌々を聞くために
冬にこそ
【解釈と鑑賞】
Rudolf PeyerのWikipediaです。
http://de.wikipedia.org/wiki/Rudolf_Peyer
この詩人は、スイスの詩人です。それに小説家であり、翻訳家でもあります。
パリで、1957年に、Paul Celanとの交遊が始まったとあります。
また、スカンジナヴィアの国々を訪れる機会があり、スエーデンの詩人、Nelly Sachsとも面識を得て、集中的に書簡を交わしているとあります。
その人生のうち、20年を外国で暮らした芸術家です。
珍しく、メキシコにいったり、北アフリカや南北アメリカにも住みました。
これらは、自らの職業を教師として務めることで得た地位が外国でドイツ語を教えるといった仕事につかせたもののようです。
この外国暮らしの間、幾多の著作をものしています。
この芸術家の特色は、その翻訳者としての能力にあるとのこと。
沢山の本が外国語に翻訳されたとあります。
スイスの文学賞も多数受賞とのことです。
このひとの最後の詩集は、アフォリスム(箴言)と詩の混交だとありますので、この詩集は読んでみたいものです。
さて、この詩の解釈は、無用であるかと思われます。
その通りで、それをどのようにあなたが解釈するかは、あなたの今の境涯、境遇、居場所によって異なるかも知れませんが、それでよいのではないでしょうか。
従い、この詩の鑑賞もまた、取り分け、あなた次第ということになります。
もし、わたしたちこの詩の読者が共通の理解を得ることができるとすれば、次の問いに答えることによって、できると思います。
それは、何故この詩人は、この簡素な詩に、次善の策という名前を与えたかという問いです。
冬という寒い、堪え難い、つらい季節にこそ、春の雲雀の歌声を聴け、その聴覚を研ぎ澄ませよ。
それが、その季節を甘受しているときにできる最善ではないが、次善の策であるという、そういうこころだと思います。
しかし、こう散文的に言ってみても、なかなか言い尽くしたことにはならないのが、詩というものなのだと思います。
簡素な詩ですが、余情があります。
上のWikipediaには、この詩人は叙情詩人だとありました。
この詩は、叙情詩なのだと思います。
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