第6週:Maerchen(お伽噺)by Elisabeth Borchers (1926- )
【原文】
Maerchen
Auf der Suche
nach etwas Schönem wie Schnee
ging ich leer aus
bis es des Wegs zu schneien begann.
【散文訳】
お伽噺
何かを求めて
何か雪のように美しいものを求めて
わたしは外に出たが、虚しかった
求める途中で、雪が降り始めるまでは
【解釈と鑑賞】
この詩人、Elisabeth BorchersのWikipediaです。
http://de.wikipedia.org/wiki/Elisabeth_Borchers
子供達のための文学的な選集に評判をとり、よい仕事を残している詩人とのことです。
このドイツ語の短い人生録を読んでも、20世紀の戦争と、戦争の合間の時期を、生きた、それだけでも掛けがいのない、尊い人生を生きた人だという思いがします。
その女性が、詩人であるということが素晴らしい。
写真で、その顔をみる事ができます。
http://www.google.co.jp/search?client=safari&rls=en&q=elisabeth+borchers&oe=UTF-8&redir_esc=&um=1&ie=UTF-8&hl=ja&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&ei=Fi0jT93kEuOaiQebpvHUBA&biw=1099&bih=883&sei=Gi0jT-GiA8eUiAe1oJTlBA
やはり、現実に鍛えられた女性という顔をしています。
Maerchen、メールヘェンという言葉を見るたびに、わたしは、ゲーテのウィルヘルム•マイスターの修業時代という長編小説を思い出します。
DTV叢書のペーパーバックで読んだのですが、その中のあるページ、同じ1ページの中に、Maerchenという言葉が、噂というもともとの意味と、いわゆる(その後生まれた)童話という意味と、ふたつの意味で同じこのMaerchenという言葉が使われている箇所があったからです。
この詩を、一寸した噂話という意味にとるか、作られた話の最たる物、現実にはない話、即ち童話ととるか、両方あり得る解釈だと思います。
何しろ、Maerchenという言葉は一語なのですから。
また、ausgehen、外出する、外に出るという動詞の意味も、日常的に使うように、観劇やら演奏会やら映画やら、何か楽しみを求めて外に出るというように解釈してもよいし、論理的に内から外へ出るというように解釈して、もっと普遍的な世界を思ってみてもよいと思います。
というよりも、これは詩人の書いた詩なのですから、意味は重複しているととる方が、一番自然だと思います。