2011年9月10日土曜日

無題(木になる):第37週


無題(木になる):第37週

by Patrizia Cavalli (1949年生まれ)


【原文】

Schoen war es gestern, mich als Baum zu denken!
An einer Stelle fast verwurzelt
wuchs ich in herrlicher Langsamkeit.
Nordwind und Brise nahm ich auf,
ein Streicheln, ein Schuetteln, alles war gleich.
Ich war mir keine Qual und kein Entzuecken,
aus meiner Mitte konnte ich nicht heraus,
entscheidungs- oder regungslos
im Wind bewegte ich mich bloss.


【散文訳】

昨日、わたしは樹木だと考えるのは、素敵なことだった!
ある場所にほとんど根を降ろし
わたしは、素晴らしく、文句なく、ゆっくりと成長した
北風も微風も、わたしは、浴びた
優しく撫(な)ぜることも、揺(ゆ)することも、すべて同じだった。
わたしは、苦しみなどなく、また魅了されることもなかった
わたしの中心から、わたしは外に出ることができなかった
決心することなく、また動揺することなく
風の中で、わたしは、ただ動いていた


【解釈】

イタリアの詩人です。

このひとのイタリア語のWikipediaがあります。詩人の写真が載っています。

http://it.wikipedia.org/wiki/Patrizia_Cavalli

こういうのが詩というのだろうなあ。

想像力の豊かさ。

そして、確かなわたしの有り様。

動かされ、そして、動きながら、それは、わたしだという勇気。

それは、わたしだ、または、それが、わたしだ、
また、わたしは、それだ、ということ。

これが、詩の本質だと、わたしは、思う。

そうして、それが、死者であっても、それは、尚更。

こうして、わたしは、樹木だ。







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