第23週:Ortsamt(役場)by Hubert Fichte(1935- 1986)
【原文】
Die Sonne war rot.
Der Himmel war schwarz.
Aus den Wolken fielen schwarze und weiße Haare.
An der Reineclaude hing ein Rhesusäffchen.
In den Erdbeeren sass ein Puma.
Am grünen Heinrich hing eine Klapperschlange.
Die Kirschen hingen auf dem Dach.
Die Dachziegeln lagen in den Hortensien.
Die Hortensienknospen lagen unten im Krater.
Die Riesenspinne und die Alligatoren entkamen.
Alle Löwen konnten nicht erschossen werden.
Alle Zebras entkamen.
Die Zebras galoppierten am Ortsamt vorbei.
【散文訳】
太陽が赤かつた。
天は黒かつた。
雲からは、黒と白の髪の毛が落ちて来た。
レーヌ・クロードプラ(西洋スモモ)には、小さな赤毛猿が掛かつてゐた
オランダ苺の中には、一匹の豹が座つてゐた。
緑のハインリッヒには、ガラガラ蛇が掛かつてゐた。
桜の木が、屋根に掛かつてゐた。
屋根瓦が、紫陽花(あじさい)の中にあつた。
紫陽花の蕾(つぼみ)は、噴火口の中にあつた。
巨大な蜘蛛とアメリカ鰐が逃れて来た。
すべてのライオンが、射殺されることができるとは限らない。
すべての縞馬が逃れて来た。
縞馬たちが、役場を諾足(ギャロップ)で通り過ぎた。
【解釈と鑑賞】
この詩人は、ドイツの詩人です。
ドイツ語のWikiです:
レーヌ・クロードプラという西洋スモモの一種は、このような果実です。
緑のハインリッヒは、同じドイツの19世紀の小説家の書いた長編小説の題名でもあり、主人公の名前でもありますが、この原文の書き方かた言つて、特別に此の主人公をいふのではなく、もっと世に流布した緑のハインリッヒ像といふ意味ですが、さて、それがどのやうな人物像をいふものか、私は未読で、不明です。
次の写真は、この詩人のお墓ですが、古代ギリシャの哲学者エンペドクレスの言葉を引用した其の墓碑銘を読みますと、上の詩も理解されるのではないでせうか。
Grabstein von Hubert Fichte.
Die Inschrift lautet:
„Denn ich war schon einmal ein Junge und ein Mädchen und ein Busch und ein Vogel und ein aus dem Meer springender wandernder Fisch.“
Empedokles (DK 31 B 117 = Diogenes Laertios 8,77, Übersetzung nach Kirk, Raven, Schofield, Hülser).
”といふのは、私は既に一度は若者であり、乙女であり、灌木であり、鳥であり、海から飛び出して放浪する魚であつた”
エンペドクレス
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