2016年6月6日月曜日

6. JUNI:Der Schläfer im Tal(谷で眠る者)by Arthur Rimbaud


6. JUNI:Der Schläfer im Tal(谷で眠る者)by Arthur Rimbaud  






【原文】

Ein grüner Winkel den ein Bach befeuchtet
Der toll das Gras mit Silberflecken säumt
Wohin vom stolzen Berg die Sonne leuchtet―
Ein kleiner Wasserfall von Strahlen schäumt.

Ein Kriegsmann jung barhaupt mit offnem Munde
Den Nacken badend in dem blauen Kraut
Schläft unter freiem Himmel, bleich, am Grunde
Gestreckt, im grünen Bett vom Licht betaut.

Ein Strauch deckt seine Füße. Wie ein Kind
Lächelnd das krank ist hält er seinen Schlummer.
Natur umhüll ihn warm! es friert ihn noch.

Ihm zuckt die Nase nicht vom duftigen Wind.
Er schläft im Sonnenschein, die Hand auf stummer
Brust―auf der rechten ist ein rotes Loch.


【散文訳】

緑なす角、小川が湿らせてゐる
その角が、凶暴に草に銀の斑点をつけることを躊躇(ため)らつてゐる
誇り高き山から、太陽が照らす其の方角へと
光線の小さな瀧が、泡立つてゐる。

戦士が、若い、丸坊主で、開いた口をして
襟首を青い雑草の中で水浴びさせながら
広い天空の下で眠つてゐる、蒼白に、谷底に
手脚を伸ばして、青々とした寝床に、光の露に濡れながら。

灌木が、その足を覆つてゐる。子供のやうに
微笑みながら、病気の子供のやうに、戦士は、自分の微睡(まどみ)を微睡んでゐる。
自然が、戦士を暖かく包んでゐるのだ!まだ寒さに震えてゐるのだからと。

戦士の鼻は、香り高い風ではピクリともしない。
戦士は、太陽の輝きの中に眠つてゐて、手を無言の
胸の上に置いて―右の手には、赤い穴がある。


【解釈と鑑賞】

この詩人は、いふまでもなく名高い、フランスの詩人です。

日本語のWikipediaです:

英語のWikipediaです:

フランス語のWikipediaです:

最後の連の最後の一行にある赤い穴は、血の色の銃槍でありませう

この戦士は、谷底に死して横たはつてゐる。

この最後の一行の意味を知つてから、逆行して最初の連の最初の一行へと戻つて行くと、この詩の深みと美しさが、よく判るやうに思ひます。



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