4月27日はHart Craneの命日である。1932年4月27日に、メキシコからニューヨークに向かう船の上から海に身を投げ、33歳の若さで亡くなった。
船の名前は、SS Orizaba。当時のことなので蒸気船です。
手もとにあるCraneの全作品の収録された詩集の一番最初に「C 33」(C, one space 33)という詩が載っています。これは、多分10代の作品。この題名から考える通り、Craneは、もう既にこのときに自分の人生が33歳で終わるのだということを見通していたのではないかと思われるほどです。
わたしの天才の定義は、若年にしてそのひとの人生を見通すひとが天才だという定義なのですが、Craneは、確かに天才なのだと思います。
この詩には、既に後年の詩集にある、男色者として詩を暗号化して書いております。今読んでいる論文、Hart Crane and the homosexual textによれば、Crane若年の折、詩人を男色に誘惑したのはan old manだと、後年詩人自らが言っているということですが、そのような経験をして詩を既に10代で書いたのだということになります。
その他、Craneが私信で書いている好きな男のどこがどのように好きかとういときの言葉は、実に生々しく、男色とはまさしく男性同士の性行為であることを如実にしめしています。それは、男女の性行為とは格別に異なる素晴らしい経験なのだと思います。一寸引用しますと、
I can remember happily. With .... you must think of someone . . . with a face not too thin, but with faun precision of line and feature. Crisp ears, a little pointed, fine and docile hair almost golden, yet darker, - eyes that are a little heavy - but wide apart and usually a little narrowed, - aristocratic (English) jaws, and a mouth that is just mobile enough to suggest voluptuousness. A strong rather slender figure, negligently carried, that is perfect from flanks that hold an easy persistence to shoulders that are soft yet full and hard. A smooth and rather olive skin that is cool - at first.
Execuse this long catalog - (Letters 126-27)
このようなエロエィックな対象が男から見た男なのでしょう。
その他にも、詩に書いているような、男色者特有の隠語で書いている性行為もあって、次のような箇所は、全くTo Brooklyn Bridgeを読んでいるのと全く径庭がありませぬ。男色者の言葉の世界それが、社会に認められずに離反しているがゆえに一層、また隠語で話され書かれている分だけ、一層そのまま詩になっているのだと思います。
And I have been able to give freedom and life which was acknowledged in the ecstasy of walking hand in hand across the most beautiful bridge of the world, the cables enclosing us and pulling us upward in such a dance as I have never walked and never can walk with another. (Letters 181)
男色者同士の性行為、肛門性交のqueを橋、bridgeに譬えている。これはこのまま暗号化された、Craneの詩文になっていると思います。
と、このようにあれこれとHart Craneのことと、その文学を思うことで、今日の供養といたしませう。
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