Und nun wollen wir glauben an ein langes Jahr(かうして、さて、長い一年を信じるのだ):第1週 by Rainer Maria Rilke(1875~1926)
【原文】
Und nun wollen wir glauben
an ein langes Jahr,
das uns gegeben ist, neu,
unberührt,
voll nie gewesener Dinge,
voll nie getaner Arbeit,
voll Aufgäbe, Anspruch,
Zumutung, und wollen sehen, daß wir’s
nehmen lernen,
ohne allzuviel fallen zu lassen,
von dem,
was es zu vergeben hat.
【散文訳】
かうして、さて、信じよう
長い一年を、
与へられてゐる長い一年を、新しくて
まだ手つかずの、綺麗な、
決して一度も存在してゐなかつた物で一杯の、
決して一度も行はれなかつた仕事で一杯の、
課題で一杯の、苦情もあれば、
要求もあらう一年を、そして、見ることにしよう、私たちが、その一年を
取るのを学ぶことを
新らしき一年が授けてくれるものの
余りに多くを取りこぼさずに
【解釈と鑑賞】
言はずと知れた、リルケです。
冒頭の、”Und nun”には、かうして旧年が終り、新しい年の新しい最初の日が来て、最初の日になつて、去年を振り返つて見て(nun)、さて、去年は終つたと思ふといふ趣があります。
さうして、今度は前を向いて、新しい一年を思つて見れば、始まるのが其のあとの詩行です。
新しき一年は人に与へ、与へてくれる年を、人は取るといふ、二つのやりとりの方向が一つの組みの言葉になつてゐて、最初から3行目と最後から4行目が呼応してゐます。
歳のはじめの試しとて、終わりなき世の目出度さを、リルケならば、かう歌つたといふところです。