2014年4月20日日曜日

【西東詩集65】 HATEM


【西東詩集65】 HATEM


【原文】

HATEM

DIES zu deuten bin erbötig!
Hab’ ich dir nicht oft erzählt,
Wie der Doge von Venedig
Mit dem Meere sich vermählt?

So von deinen Fingergliedern
Fiel der Ring dem Euphrat zu.
Ach zu tausend Himmelsliedern,
Suesser Traum, begeisterst du!

Mich, der von den Indostanen
Streifte bis Damaskus hin,
Um mit neuen Karawanen
Bis ans Rote Meer zu ziehen,

Mich vermählst du deinem Flusse,
Der Terrasse, diesem Hain,
Hier soll bis zum letzten Küsse
Dir mein Geist gewidmet sein.

KENNE wohl der Männer Blicke,
Einer sagt:》ich liebe, leide!
Ich begehre, ja verzweifle!《
Und was sonst ist kennt ein Mädchen.
Alles das kann mir nicht helfen,
Alles das kann mich nicht rühren;
Aber Hatem! deine Blicke
Geben erst dem Tage Glanz.
Denn sie sagen:》Die gefällt mir
Wie mir sonst nichts mag gefallen.
Seh ich Rosen, seh ich Lilien,
Aller Gärten Zier und Ehre,
So Zypressen, Myrten, Veilchen,
Aufgeregt zum Schmuck der Erde;
Und geschmückt ist sie ein Wunder,
Mit Erstaunen uns umfangend,
Uns erquickend, heilend, segnend,
Dass wir uns gesundet fühlen,
Wieder gern erkranken möchten.《
Da erblicktest du Suleika
Und gesundetest erkrankend,
Und erkranketest gesundend,
Lächeltest und sahst herüber
Wie du nie der Welt gelächelt.
Und Suleika fühlt des Blickes
Ewge Rede:》Die gefällt mir
Wie mir sonst nichts mage gefallen.《

【散文訳】

ハーテム

その意味を解き明かすことこそ、わたしの覚悟である!
わたしは、お前にしばしば語りはしなかっただろうか
どのようにして、ヴェネツィア共和国総督が
海と婚姻を結んだのかを?

同じようにして、お前の指の節々から
指環は落ちて、ユーフラテス河へと落ちたのだ。
ああ、幾千もの天の歌に合わせた
甘い夢だ、霊感を与えよ!

新しい隊商を組んで
紅海まで往くために
インドスタンから地上を旅して
ダマスクスまで行くこのわたしと

このわたしと、お前は、お前の河で
段丘で、この神域の森で、婚姻を結ぶ
ここでは、最後の接吻まで
お前に、わたしの精神は捧げられることになるのだ。

男達の視線をよく知るがいい
ある者はこう言う:わたしは愛し、苦しむ!
わたしは熱望し、そう、絶望する!
感動させることはできない
しかし、ハーテム!お前の視線こそは
やっと、昼間に輝きを与えるものだ。
何故ならば、男達はこういのだから:この女は、わたしの気に入った
それ以外には、何もわたしの気に入ることがないほどに。
わたしは薔薇を見る、わたしは百合を見る
総ての庭という庭の飾りと名誉を見る
同じようにして、糸杉を、ミルテ(桃金嬢)を、菫(すみれ)を見る
これらが、上気して、地上の飾りとなっているのを見る。
そして、飾られているのは、彼女、ひとつの不思議である
驚きを以て、わたしたちを捕まえながら
わたしたちを慰めながら、癒しながら、祝福しながら
その結果、わたしたちは自分が健康であると感じ
再びよろこんで病気になることさへあるかも知れないほどだ。
すると、お前、ズーラライカは、それを看取って
そして、最も健康に病みながら
そして、最も病んで健康でありながら
微笑み、そしてこちらを見たのだ
お前が、決して世界に微笑むことのない微笑みを見せながら。
そして、ズーラライカは、その視線の
永遠の議論を感ずるのだ:この女性は、わたしの気に入った
それ以外には、何もわたしの気に入ることがないほどに。


【解釈と鑑賞】

ハーテムの、前のズーラライカの詩に対する回答の詩です。

古代のヴェネツィア共和国の総督もまた、このふたりの恋人たちと同じように、河に指環を落として、海の女神と結婚をしたのでしょう。

第3連では、中近東を隊商を組んで、駱駝に乗って行く形象(イメージ)が歌われています。これは、西東詩集の最初におかれている詩、HEGIREの第4連に通じるものがあります。このような想像をすることは、楽しいことでしょう。

ズーラライカが、最も病みながら健康に、最も健康に病みながら、微笑むという詩行もまた、ゲーテらしいと、わたしは思います。

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